こんにちは。
動物園へ足を運んでいると周りからこんな声が聞こえることがあります。
「ハイエナってイヌに似てるね。イヌの仲間なのかな?」
「カモシカっていうんだ。シカなんだね」
確かに姿かたちは似ていますが、実は違う仲間。
世の中にはそんな動物がたくさんいるので、今回は誤解されがちな動物たちを十種選んでご紹介していきます。
ジャガーはネコの仲間!
ハナグマはアライグマの仲間!そもそもハナグマって知ってる……?
1.ハイエナ
まずはハイエナ。
写真はブチハイエナになります。
シルエットはイヌっぽいですが、妙に長い首や前足と比べて短い後ろ足など、独特な骨格をしています。
ブチハイエナはハイエナ科ブチハイエナ属。
ハイエナ科はイヌよりもジャコウネコの方が近いとされていますが、ジャコウネコもまたネコの仲間ではなくジャコウネコ科と別の分類に分かれています。
クリクリした目と大きな耳がチャームポイント。
身体の大きさは95~150cmと想像以上の巨体で近くで見るとビックリします。
また、メス社会でリーダーはメス、体格もメスの方が大きいという特徴もあります。
2.リカオン
そんなブチハイエナに似ているのがリカオン。
耳の形や身体の模様は確か似ていますね。
リカオンはイヌ科に分類されるイヌの仲間です。
キリっとした凛々しい見た目から同じイヌ科のオオカミとも間違われそうですが、オオカミはイヌ属、リカオンはリカオン属に分類されます。
リカオンは非常に社会性の高い生き物と言われています。
仲間との巧みな連携による狩りの成功率は80%もあると言われ、さらに意思決定をくしゃみで投票する民主的な一面を持つことも研究で確認されています。
ライオンの狩りは20~30%、ブチハイエナは60%と言われているぞ。ま、今も生き残れている時点でみんな優秀だよな。
3.レッサーパンダ
続いてはレッサーパンダ。
名前からジャイアントパンダの仲間や見た目からアライグマの仲間と勘違いしてしまいそうですが、いずれも異なります。
かつてはアライグマ科に分類されていましたが、現在はレッサーパンダ科という独自の分類を持つことで落ち着いています。
レッサーパンダは竹が主食なことや中国の森林に生息することからジャイアントパンダとの共通点が多いですね。
レッサーパンダはレッサーパンダ科、ジャイアントパンダはクマ科、アライグマはアライグマ科……うーん、ややこしいね~。
4.プレーリードッグ
続いてはプレーリードッグ。
写真はオグロプレーリードッグになります。
ドッグとついていますが、どう見てもイヌではなさそうですよね。
プレーリードッグはリスの仲間になります。
リスと言えば木登りが得意で尻尾がふさふさなイメージがありますが、プレーリードッグは穴掘りが得意で尻尾も短いです。
名前にドッグがついている理由は「鳴き声がイヌに似ているから」と言われています。
動物園でもたま~に鳴くことがあるので、見かけたときはじっくり観察してみてください。
5.ミーアキャット
続いてはミーアキャット。
キャットとついているのでネコかな……となりそうですが、もちろん違います。
ミーアキャットはマングースの仲間になります。
プレーリードッグは鳴き声が名前の由来ですが、ミーアキャットは「聞き間違い」が由来と言われています。
ミーアキャットは英語で「meerkat(ミーアカット)」と書き、この「kat」を「cat」と聞き間違えられて広まったという説が有力です。
イヌ・ネコの名前の関係とパッと見のサイズ感からプレーリードッグと混ざる方もいるようなので、合わせて覚えておきましょう!
6.ハイラックス
続いてはハイラックス。
写真はケープハイラックスです。
見たことも聞いたこともない方が多いのではないでしょうか。
ハイラックスはイワダヌキ目イワダヌキ科という独立した分類に属されます。
タヌキとついているので「タヌキの仲間かな?」って思ってしまいそうですが、違います。
モルモットなどのげっ歯類と間違えてしまいそうですが、これも誤りです。
ハイラックスの正体は……。
なんと、ゾウに近い動物と言われているのです。
似ても似つかないハイラックスとゾウですが、細かく見ていくと……
・一生伸び続ける上あごの切歯
・蹄のような足の爪
など、共通した特徴が見られます。
この写真を出されてゾウに近い動物だとは思いませんよね。
動物の進化は不思議でいっぱいです。
7.カモシカ
続いてはカモシカ。
写真はニホンカモシカです。
名前にシカとついていることや中型の体格からシカと思ってしまいがち。
しかし、実際はシカではなくウシの仲間になります。
シカの特徴はこのように枝分かれした立派な角ですね。
一方、ウシの仲間は枝分かれせず生え変わることもありません。
ウシとシカの違いについては前回のプチ知識でも触れているので、ご興味ありましたらぜひご覧ください。
8.エミュー
続いてはエミュー。
大型で翼がないこのシルエットはダチョウそっくりです。
遠目から見たらダチョウと思ってしまうのも無理はありません。
こちらがダチョウ。
うーん、確かに瓜二つ。
同じダチョウ目に属しているという点では共通していますが、二種は全く別の生き物。
エミューはダチョウではなくヒクイドリの仲間です。
ヒクイドリは強烈なキックを繰り出す鳥で「世界一危険な鳥」とも呼ばれています。
顔立ちや目の色がヒクイドリと似ていますよね。
比較的温和な性格で飼いならしやすいことから全国色々な動物園で見ることができます。
ヒクイドリも攻撃力が高いだけで乱暴な性格というわけではないよ。
9.シマウマ
続いてはシマウマ。
いやいやどう見てもウマの仲間じゃんと思うかもしれません。
確かにウマ科ウマ属に分類されるれっきとしたウマの仲間ですが、我々の知るウマよりもっと近い動物がいます。
それはロバです。
ロバもウマ科ウマ属に分類されるウマの仲間です。
ロバもウマにはあまり見えないかもしれませんが、顔立ちや耳の形はシマウマにそっくりです。
ウマの鳴き声と言えば「ヒヒーン」と表現すると思いますが、シマウマはイヌのように「ワン」と鳴きます。
その点でも「ウマ」と「シマウマ」が似て非なる種であることが伺えますね。
10.オカピ
最後はオカピ。
お尻や四肢だけシマウマのような模様をした不思議な生き物です。
これだけ見たらシマウマの仲間と思ってしまいそうですが、実際はウマではなく……。
キリンの仲間です。
分類もキリン科オカピ属に分けられます。
キリンの独特な模様や骨格は一見似てないように見えますが、顔立ちや青く長い舌で草を手繰り寄せるように食べる姿はキリンそっくりです。
オカピの不思議な模様にはカモフラージュの役割があると考えられています。
見慣れているかどうかの違いだけで、みんな不思議な模様をしているもんだよな。
まとめ
以上、つい間違えてしまいそうな動物たちを十種紹介させていただきました。
見た目や名前からつい誤解してしまったり、逆に全く似ていないのに実は近い仲間だったり。
一目見ただけでは判断できない魅力が動物たちには詰まっています。
動物たちについて少しでも知っていただけたら幸いです。
でも、この星で生きている時点でみんな仲間だよね~。
急にスケールが壮大。
オススメ記事はこちら!
参考サイト
- 千葉市:千葉市動物公園 ブチハイエナ
- リカオン|アフリカのサバンナ|動物紹介 よこはま動物園ズーラシア公式サイト|公益財団法人 横浜市緑の協会
- 【動画】リカオンがくしゃみで投票、合意形成か | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
- レッサーパンダとは? | 月刊パンダ(げっかんぱんだ)
- 全ての動物 | 動物紹介 金沢動物園|公益財団法人 横浜市緑の協会